【読書記録】妊娠・出産をめぐるスピリチュアリティ /橋迫瑞穂 著
概要
妊娠・出産を取りまくスピリチュアル市場がどのように誕生し、なぜ指示されているのかを研究した新書。
感想
妊娠してから人から非科学的なアドバイスを貰ったり、信憑性の怪しい情報に触れることが圧倒的に増えた。
本書のタイトルを聞いて、妊娠後漠然と抱えていた疑問の答えになるのではと思い読んだが、一定の合点がいき読んで良かった。
妊娠して分かったのだが、現代社会において妊娠・出産は信じられなくくらい大変である。
一例を挙げると結構な確率で股や腹を切って出産していることを知り衝撃的だった。
また、身体的な負荷は仕方ないとしても、社会が信じられないくらい妊娠・出産を応援してくれない。
私は親族も皆祝福してくれた上に、職場環境大変恵まれているが、それでも具体的に育てることを考えていくと意識が遠くなるほど環境が整っていない。
保育園の情報を集めるだけでひと苦労(このためにコンサルを雇いたいと思ったくらい)、保育料は家賃くらい高い、実家が頼れないなら高額の民間ベビーシッターをこれまた家賃くらいの価格で雇うしかない現状でとても社会を目の当たりにして「こんなに大変って事前に知っていたら妊娠しなかったかも…」と正直思った。
そんな社会的困難を目の当たりにしながら、本書を読むと大変納得がいった。
社会が歓迎してくれない妊娠・出産についてスピリチュアルに傾倒すると妊娠・出産や女性性そのものを全肯定してくれるのだから飛びつく人が多いのも納得だった。
さらに日本独自の助産師という職業・制度についても踏み込んでおり、助産師は医療行為ができないため”自然なお産”を推めるという構造も指摘している。
これからもスピリチュアルを心棒する人から謎のアドバイスを受ける日々が続いているだろうが、彼ら・彼女らが心棒する背景を理解したことで興味深く話を聞けそうだ。
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